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2021年11月25日 (木)

ダイポールアンテナ 雨の水滴によるSWR変化

先日設置したワイヤーダイポール(DIAMOND W8010)とv字ダイポール(Comet CHV-5α)について、雨によってSWRが大きく変化した顛末記。

Img05424

結論から先に書くと、両方のアンテナとも全てのバンドにて共振周波数が低い方にシフトし、その結果運用周波数でのSWRが悪化していた。原因はアンテナの水滴。これを取り除く(振り落とす)と共振周波数は元に戻った。ネットで提供されている情報から、アンテナの水滴がアンテナエレメントの地面に対する静電容量を大きくし、それにより共振周波数を低くするようだ。アンテナの等価回路は直列LCR回路であり、そのfo = 1/(2π√LC)なので、Cが大きくなるとfoは低くなるということだ。表1と2にそれぞれのアンテナの設置後、雨の後(アンテナに水滴が付いている状態)、水滴除去後の共振周波数をまとめた。

表1 : DIAMOND W8010の3.5/7/21MHzワイヤーダイポールの共振周波数変化

  設置後 雨の後 水滴除去後
80M 3.558 3.502 3.544
40M 7.109 7.000 7.084
15M 21.080 20.780 21.000


表2 : Comet CHV-5αの共振周波数の変化

  設置後 雨の後 水滴除去後
40M 7.090 6.994 7.078
20M 14.054 13.996 14.040
15M 21.089 20.740 21.060
10M 29.260 28.760 29.180
6M 50.870 50.200 50.700


写真1 : W8010の雨の後の状態
Img05532_hdr_small

写真2 : W8010の水滴を除去した(水滴を振り落とした)状態
Img05536_hdr_small

CHV-5αはアンテナマストを叩いてエレメントに付いていた水滴を落とした。雨の後のfo測定と水滴除去後のfo測定の間に行ったことはエレメントの水滴除去だけなので、エレメントについていた水滴がfo低下の原因と考えることができる。

CHV-5αは短縮率の大きさから、SWR変化が周波数に対して急峻で、このfoのシフトは運用上致命的だった。

写真3 : 雨降り中のSWR値
_small
7MHzや21MHzでは運用が出来ない状態になった。

写真4 : 雨が上がった後のSWR値
_small_20211125201901
雨が上がっても運用の観点からは状況は改善しなかった。

写真5 : 水滴を除去した後
_small_20211125202001
設置後の状態にほぼ戻り、運用が可能となった。

例としてW8010の3.5MHzのfo測定結果の変化は写真6から8の通りとなった。

写真6 : 設置後のfo
80m1_small

写真7 : 雨上がり後(エレメントに水滴が付いている状態)のfo
80m2

写真8 : 水滴を除去した後のfo
Img05537_small

以上より、エレメントの水滴がfoを低い方にシフトさせ運用に影響を与えることが判明したので、以降は雨上がりにはエレメントの水滴を落としてから運用するようにしたいと思う。

追記1

今回水滴の影響がSWRに顕著に出ている。一つの理由としてアンテナワイヤーの地上高に低さがあると思う。
静電容量は以下の式で求められる。
  C = ε・S / d     S:電極の面積、d:電極間距離
電極間距離dが小さい程静電容量は大きくなる。そこに水滴が加わって、仮に静電容量が1.5倍になったとするともともとの静電量量が大きいのでその変化量も大きくなるということだろうと思う。であれば、地上高が倍高ければ、水滴によるfoシフト量は半分になるのかもしれない。

追記2

ワイヤーダイポールの地上高を上げた。これによる水滴SWR変化を確認してみた。というのも、水滴によるアンテナワイヤーと大地間の静電容量が影響しているのなら、アンテナ地上高を上げることで静電容量が小さくなるはずで、共振周波数変化量も少なると思うから。

雨降り中のSWR特性。共振周波数は3.522MHz。
Img05819_small

ワイヤの水滴が無い状態。共振周波数は3.565MHz。
Img05823_small

共振周波数変動幅は3.565-3.522=0.043KHz。
アンテナ地上高を上げる前は3.544-3.502=0.042KHz。
以上より地上高を2メートル位上げた位じゃ水滴による静電容量変化は全く変化なしということ。

 

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