先日アップしたバランの設計値に基づいてバランを製作した。
部品は秋月電子と千石電商のネット通販で調達した。調達したパーツリストは最後尾に添付している。
ケースを加工してUHFコネクターとアンテナ端子を取り付けた。

この中にトロイダルコアを入れる。入れるコアはFT114-43、千石電商で調達した(秋月電子のネット検索では見つからなかった)。

このトロイダルコアに0.8mmのポリウレタン銅線を巻く。バイファイラ巻きで、計算値どおりの5回巻きとする。

こんな感じに巻いてみた。

銅線の被覆を剥がし、それぞれの端子に半田付けをする。

屋根裏で50MHzワイヤーダイポールを接続してみた。

アンテナアナライザーAA-1500 ZOOMのSWR測定結果。共振周波数はちょっと低い(エレメントが長い)ところにあるけれど47MHzでSWR=1.57、リターンロス=13.05dBとなっている。なのでエレメント長を調整すればそれなりに使いそうな雰囲気はある。

バランの平衡度を確認するため、ダミーロードを製作した。100Ω 1/4W金属皮膜抵抗を4本並列接続して25Ω抵抗を2つ作り、それを直列に接続して50Ω抵抗とした。

ここからがよく分からない。このケーブルに自作バランの代わりにダミーロードを接続すると周波数に関係なくSWR値は一定値のグラフになる。しかし、自作バランを接続すると以下のグラフになる。ほぼ10MHz周期で谷がくる。そして、周波数が上がるにしたがって谷底は上に上がっていく。この周期は同軸ケーブルの長さで変化する。このグラフはおよそ10メートル長の同軸ケーブルでAA-1500とバランを接続した場合だ。およそ20メートルのケーブルに替えると周期は5MHz程度と半分近くになる。

50MHz付近ではSWR=4程度となっている。けれどもワイヤーダイポール接続ではSWR=1.57だった。この違いは何なんだろう。
比較の為、アンテナテクノロジーのBL-5でも計ってみた。写真右がBL-5。

同軸ケーブル長とSWR周期の関係は同じに見えるが、自作バランでみられた周波数上昇にともなう谷底の上昇の傾向はみられなかった。

つまり、谷底の上昇は自作バラン特有の特性ということになる。
ちなみに屋根裏の50MHzワイヤーダイポールにBL-5を付けてSWR測定した結果が以下。49MHzにてSWR=1.03、リターンロス=35.38dB。良い性能を出している。

ここから先どうすれば良いかちょっと分からないので、とりあえずバランの平衡度を測定してみる。
ダミーロードを25Ωの直列としたのは中間点をGNDとしてその両端の電圧を測定するため。平衡度が出ていればそれぞれ逆相の波形が観測できるはずだ。

測定する周波数はリターンロスが最も小さな周波数(つまり、最も高い電圧がダミーロードにかかる周波数)として26MHzとした。

26MHzのリターンロスは19.4dB。

デジタルオシロでの測定結果。真ん中はA+B波形で、平衡度はまあまあの状態に見える。

ということで、フロートバランとしての平衡度はまあまあな感じで、ワイヤーダイポールを接続した場合のSWR=1.57となった。これだけ見ると自作バランは「まぁ、こんなもん?」って感じにも見える。だけれどダミーロード接続の場合のSWR特性の説明ができない。
以下、今回調達したパーツリスト。今回製作に使ったもの以外もオーダーしてる。
秋月電子

千石電商

追記
ダミーロードをネジ固定する銅線をカットして短くしてみた。

すると24.7MHzにてSWR=1.15、RL=23.02に改善した(グラフ緑線)。カット直前の値はSWR=1.34、RL=16.76(グラフオレンジ線)。エレメント側の銅線の長さはあまり気にしなくても良いといった情報を目にしていたが必ずしもそうではないみたいだ。

いずれにせよ、この挙動はバランの入力インピーダンスが周波数によって変化することが原因と思われる。実際SWRが山になるところでインピーダンスがピークになっている。

つづく。。。