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2022年2月 8日 (火)

進行波と反射波の関係 - 備忘録

SWRの送信電力の視点から考察する、というかOMの知恵をまとめた備忘録。

OMの知恵をエクセルに落としてみた。進行波と反射波が見かけ上の波ということで、計算することでその波の大きさが分かるとのこと。やはり送信機出力がアンテナ給電点でどうなるかを知りたいので送信機出力からアンテナ電力を逆算をしてみた。

SWR 3.000  
線路損失 0.794  
     
ANT電力から送信機出力を求める  
ANT電力 7.100  
ANT給電点の進行波電力 9.467 ((SWR+1)^2)/(4*SWR)
ANT給電点の反射波電力 2.367 ((SWR-1)^2)/(4*SWR)
送信機端の進行波電力 11.923 ANT給電点の進行波電力/線路損失
送信機端の反射波電力 1.879 ANT給電点の反射波電力*線路損失
送信機出力 10.044 進行波電力-反射波電力
     
送信機出力からANT電力を求める  
送信機出力 10.000  
A 1.679  A=(((SWR+1)^2)/(4*SWR))/損失
B 0.265  B=(((SWR-1)^2)/(4*SWR))*損失
ANT電力 7.069 送信機電力/(A-B)

ダウンロード - txantpower.xlsx

線路損失は10メートルの5D-2Vを145MHzで使用した場合の損失として0.794を入れている。この値はJARLのライブラリーを参照(損失とdB→%換算)した。

SWR=3でも10Wの送信機出力に対して約7Wがアンテナに送り込まれるとわかる。SWR=3というと可也悪い値に思えるがおよそ70%がアンテナに送り込まれるわけだ。

OMの知恵ではアンテナ給電点での電力(ANT電力)からストーリーが始まっている。特定のSWR値の下で、所望のANT電力を得るためには進行波電力がこの値である(反射波電力がこの値になるから)必要があると読める。そして、それらの値から線路損失を考慮して送端での進行波と反射波の電力はこうなり、進行と反射の収支をあわせることで送信機出力が決まるわけだ。でも、送信機側からこのストーリーを見るとなんとも腑に落ちない。というのも送信機出力とはかけ離れた電力がいきなり送端に入力されることになるからだ。つまり、送信機側からすると何とも変に思える。そこで、今一度送信機出力端に注目してみる。下図では送信機出力が10.044Wだ。これに反射で帰ってきた電力を加算すると進行波電力になる。つまり、進行波電力は送信機出力に反射波電力を加算したものなのだな。

Photo_20220208132901

しかし未だにピンとこないのが線路損失が1(つまり損失無し)の場合の計算値だ。この場合、SWR=3でも送信機出力の100%がアンテナに送り込まれる。アンテナ給電点での進行はは13.333W、反射波は3.333Wで差し引きで10Wがアンテナに送り込まれるという計算になっている。

SWR 3.000  
線路損失 1.000  
     
ANT電力から送信機出力を求める  
ANT電力 7.100  
ANT給電点の進行波電力 9.467 ((SWR+1)^2)/(4*SWR)
ANT給電点の反射波電力 2.367 ((SWR-1)^2)/(4*SWR)
送信機端の進行波電力 9.467 ANT給電点の進行波電力/線路損失
送信機端の反射波電力 2.367 ANT給電点の反射波電力*線路損失
送信機出力 7.100 進行波電力-反射波電力
     
送信機出力からANT電力を求める  
送信機出力 10.000  
A 1.333  A=(((SWR+1)^2)/(4*SWR))/損失
B 0.333  B=(((SWR-1)^2)/(4*SWR))*損失
ANT電力 10.000 送信機出力/(A-B)

この関係を図にすると以下となる。

Photo_20220208192601

アンテナ給電点から進行波電力の25%にあたる3.333Wが送信端に返ってきて、これに送信出力10Wが加わって13.333Wとなり、その25%の3.333Wが送信端に返ってくるという仕組みだ。なんともすっきりしない。10Wが入ってきて、25%が戻ってきて、それに入ってきた10Wが加わって、その25%が戻ってきて、、、ということを繰り返して安定するとこうなるんだろうか。系のなかでの損失が無いわけだからこうなるんだろうなぁとは思うが。

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