DIAMOND GS-3000の修理の件
ヤフオク!で落としたDiamond GS-3000 13.8V MAX30A電源が届いた。
動作させたところ電圧は13.78V、しかし電流は4A程度で電流制限が働いで電源OFFになる。
良くある故障モードとして可変抵抗器の劣化が考えられる。
GS-3000の故障に関する情報から、VR1が電流制限調整VRであることが判明した。
VR1を拡大する。この写真では8時方向をむいているが、入手時点では12時方向を向いていた。
とりあえず、VR1を何度か回してまずは、3時方向にセットし負荷を繋いでみた。4Aよりも小さな負荷で電流制限が発生。そこで8時方向まで回してみたところ、8Aの負荷でも電流制限は作動しなかった。30A負荷を与えることができればVR1の位置は追い込めるが、そのような負荷がないので、とりあえずこれで様子を見てみる。
考察:
この電源、カバーを外してみると結構きれいな感じだったが、基板の隅の方を見るとシルク印刷が隠れるほど埃がこびりついている。つまり、この電源の出品に当たって掃除をしたということだろうと思う。ひょっとしたらその際にVR1の位置が変わってしまったのかもしれない。いずれにせよVR1の調整だけで問題は解決したように見える。
考察のやり直し:
電流が出ないというか過電流保護が働いて出力電流制限されている理由が分かった。4つあるパワートランジスタの内3つのエミッターに繋がるワイヤーが断線していた。半田にクラックが入って取れたように見えた。VR1を変化させて制限電流値が増えたのは残っていた1つのパワートランジスターの最大電流(0.1Ω抵抗に流れる電流量)を増やしたため、ということのようだ。
エミッター端子の半田面が割れて剥がれたような半田断面にみえる。
こちらも同様。
本来は4個のパワートランジスターで出力しているところを1個のパワートランジスターで制御したため、過電流制御が働いてしまったようだ。エミッターへケーブルを半田付けしなおした(黄丸)。
この結果、電流制御用のVRを元の位置に戻しても、問題なく動作するようになった。また、電流計は剥がれがケーブルの先に繋がっていたので当初は電流表示が出来なかったがケーブルを半田付けしなおすことで、電流計も動作するようになった。
考察
もうちょっとちゃんと構造を調べて見たくて、今一度理解を深めるためにJH7LUC局のブログなど先人の知恵を参考に自分で回路図を書いてみた。
構成はダーリントン接続のトランジスターが3段になっていて、ツェナーダイオードで定電圧としている。リセットIC TA8505Pの入力にサーモスタットにかかる電圧を接続し、ある程度の抵抗値(温度)になったらリセットICがリセット信号を出力し、その信号によってファンモーターnの駆動制御を行っている。TA8505PはVCC=5Vを必要とするので三端子レギュレータTA78006PでVCCを作っている。過電圧(ツェナー電圧)となるとツェナー電流が流れリレーが働いてパワートランジスタへの入力をカットする。
定電圧の原理は以下の通りと理解した。Q2のエミッター電圧Veq2はZDのツェナー電圧Vzdで決まる。Q2のベース電圧は、ベース・エミッター間電圧をVbeq2とするとVzd+Vbeq2となる。この電圧はVout(R2/(R1+R2))であたえられるので、Vout=(Vzd+Vbeq2)((R1+R2)/R1)となるようにQ1が帰還制御される。
よくわからなかったのが過電流制御部分。ここは以下の通り解釈した。
VEQ5=VEQ3-R2xIOUT : IOUTが大きくなるとR2による電圧降下が大きくなるのでVEQ5(Q5のエミッター電圧)は小さくなる。
VBQ5はVRの値によって変化する。
VBQ5-VEQ5>VBE となればQ5はONになる。つまりIOUTが大きくなるとQ5はONになる。その閾値はVRで変化する。
Q1のベース電圧からみると、Q3のエミッター電圧はQ1からQ3のベース・エミッター間電圧の合計分低いことになる。Q5がオンになるとその電圧差がなくなるので、Q1からQ3へのベース・エミッター間に電流が流れなくなる。
解釈が正しいかイマイチ不安な部分があるけれども、出力電流による0.1Ω抵抗の電圧降下とVR1の値のバランスでQ5がONされることには違いない。
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