Yaesu FT3D APRSビーコン パケットデータの解析
FT3Dが送信しているAPRSパケットデータの解析をしたので、その記録。
以下がUI_VIEW32のTerminal出力に表示されたFT3DのAPRSビーコンデータ:
JA0WBT-7>SUTPW9,WIDE1-1 Port=1 <UI R Len=17>:`AB(l T[/`"9a}_0
FT3DはMic-E形式でAPRSパケットを送出している。FT3DのMic-EはDestination AddressとInformationにGPS座標情報(Latitude/Logitude)、高度情報(Altitude)、無線機形式(Radio Type code)で構成されている。
まずはDestination Address(以下の赤字部分)の分析から。ちなみにFT3DのGPS座標は北緯35度40.79分、東経137度38.12分。
JA0WBT-7>SUTPW9
Byte | Latitude | Msg A/B/C | N/S | Longitude offset | E/W |
S | 3 | A=1 | |||
U | 5 | B=1 | |||
T | 4 | C=1 | |||
P | 0 | N | |||
W | 7 | +100 | |||
9 | 9 | E |
SUTPW9は1バイト目からAPRSスペックの44ページに掲載される以下の表でデコードできる。1バイト目からこの表を見ながらその意味を解釈するとデータ並びのASCII Char順に以下となる。
- S: Lat Digit Byte 1=3, Message A=1
- U: Lat Digit Byte 2=5, Message B=1
- T: Lat Digit Byte 3=4, Message C=1
- P: Lat Digit Byte 4=0, N/S = North
- W: Lat Digit Byte 5=7, Long Offset = +100
- 9: Lat Digit Byte 6=9, W/E = East
ちなみにMessage A/B/C = 111はスペックの45ページの表(以下)Off Duty(無線機の前に運用者は不在)という意味になる。
FT5DのマニュアルにあるMessageの解釈は以下の通り。
次にInformationに記載されたデータの解釈を行う。
`AB(l T[/`"9a}_0
結論を先に書くと、これは以下の3つのパート(青、赤、緑)で構成されている。
`AB(l T[/`"9a}_0
`AB(l T[/ : Logitude + Speed/Course + Symbol Code
Information Fieldのフォーマットはスペックの46ページに掲載されている。
この表に従ってデータを解釈する。
- ` : Current GPS Data
- A : Ascii code=65, d+28 = 65 -> 137 (以下のMic-E Longitude Degree Encodingのd+28=65から値を引くが、先に解釈したDestination AddressのByte5でLong Offset=+100となっているので表の+100の欄の値を引く)。
- B : Ascii code=66, m+28 = 66 -> 38 (以下のMic-E Longitude Minutes Encodineのm+28=66から値を引く)
- ( : Ascii code=40, h+28 =40 単純に40から28を引いた値がh。h=40-28=12
以上よりLongitude=137度38.40分 - l (small L) : Ascii code=108, SP+28=108 -> Speed Knot 0-9 (100の桁0、10の桁0、1の桁0~9
- space : Ascii code=32 , DC+28=32 -> Speed Knot 0 (1の桁0)、Couse 0-99 degree (100の桁0)
- T : Ascii code=84, SE+28=84 -> Couse 56 degree (10と1の桁)
以上より、速度=0ノット、進路56度 - [ : Symbol Lookup Table参照
- / : Symbol Lookup Table参照
[/でRUNNERシンボル
`"9a} : Altitude
- ` : Current GPS data
- " : Ascii code=34 34-33= 1 1*91*91=8,281
- 9 : Ascii code=57 57-33=24 24*91=2,184
- a : Ascii code=97 97-33=64 = 64 合計10,529 -> 海抜529m
- } : 終端記号
Altitudeは最も深い海の底(10,000メートル)からの標高で表現する。なので海抜に10,000メートルを加算する。この標高を基数91で表現する。例えば標高61メートルだと、10,061メートルとなるので、
10,061 / (91*91) = 1 あまり1,780
1,780 / 91 = 19, あまり51
つまり基数91表現で119あまり51となる。これに33を加算し3バイトで表現すると、Byte1=1+33=34、Byte2=19+33=42、Byte3=51+33=84となる。受信したビーコンはこの逆の方法で計算する。
_0 : Radio Type code
- _0
Mic-E Type Codeによると_0はYaesu FT3Dのモデルコード。
Beacon Textについて
FT3DのBeacon ステータステキストにHello WorldをセットしてBeaconを送信してみた。以下、ピンクの所に挿入された。つまり。モデルコードの前。モデルコードがビーコン情報の最後に位置するようだ。言い換えるとAPRSスペック1.01に記載されているフォーマットに付加される形でモデルコードが追加されたことがわかる。
06:07:04R JA0WBT-7>SUTPW9,WIDE1-1 Port=1 <UI R Len=28>:`AB(l-=[/`"9N}Hello World_0
結果
以上より、FT3Dから発信されているビーコン情報は以下のとおりとなる。
北緯 35度40.79分
東経 137度38.12分
速度 0ノット
進路 56度
シンボル RUNNER
海抜 529m
無線機コード Yaesu FT3D
以上
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