6V/16V過電圧保護回路
IC-705のVBUSに接続されている過電圧保護用ツェナーダイオードが焼けてしまった。焼けちゃったらダメだろーって思うんだけれど。
ちなみに、リペアセンターによると焼けたツェナーダイオードは以下とのこと。
ダイオード:1SMB5920BT3G
ツェナー電圧:定格6.2V
つまり6.2V以上がVBUSラインに加わると焼けるそうだ。これは困る。なので過電圧保護回路を入れたい。
ツェナーダイオードの電圧と電源供給電圧をLM358で比較し、MOSFETをスイッチングする。MOSFETのオンオフをするトランジスタは汎用トランジスタの2SA1015だ。LEDをON/OFFする2SC15815とはコンプリメンタリな関係のトランジスタだ。回路としてはコンパレータとMOSFETにスイッチングトランジスタと、非常にシンプルな回路となっている。ツェナーダイオードを切り替えることにより、5Vラインと13.8Vラインの両方に対応できるようにした。
この回路をベースに作業を進める。なお、ツェナーダイオードからDC IN+への接続に20KΩと1KΩがパラレル接続になっている理由は本文後半に記載している。
スイッチングトランジスタとして2SJ555をつかう。2SJ555のオン抵抗が0.017Ωととても小さいためで、損失が少ないから都合がよい。
ゲートソース間電圧を確認する。
15V時
ゲートソース間電圧 VGS > 14V となるのでIDは無限大となる。
6V時
ゲートソース間電圧 VGS > 4V となるのでIDは70Aとなり、問題なし。
次に、記事には無かったゲート抵抗を加える。必要となるデータはターンオン時の上昇時間またはターンオフ時の下降時間(どちから短い方)、ゲートチャージだ。
15V時
ゲートチャージ VGS=14Vで180nc
ターンオン上昇時間(270ns)とターンオフ下降時間時間では上昇時間が短いので、ターンオフ時により多くの電流が流れる。ターンオフ時の電流に合わせてゲート抵抗を求める。
電流値 = 180nc / 270ns = 0.67A
ゲート抵抗値 14V / 0.67A = 20Ω
6V時
ゲートチャージ VGS=4Vで40nc
電流値 = 40 / 270 =0.14
ゲート抵抗値 4/0.14 = 28Ω
以上より22Ωとしてみる。
パーツの配置を考える。配線が交差しないように、幾度かリトライ。
配置が決まったのでパーツをセットして、電源ラインに1.6mm銅線を配置する。
9.1Vツェナーダイオード
コンパレータとして動作するオペアンプの出力が変化する時、つまり+とーの電圧値が拮抗するところではオペアンプ出力が以下のようになることが分かった。
入力電圧:15.58V オペアンプ出力 LOW
入力電圧:15.70V オペアンプ出力 HIGH
この中間電圧では以下の波形となった。
実際問題、このような電圧で入力電圧が安定することはないと判断されるので、特に問題ないと思う。
3.6Vツェナーダイオード
3.6Vツェナーダイオードの場合、VR50KΩの範囲では調整できなかった。というよりもツェナーダイオード電圧が3.6Vにならず、2.0V程度になっていた。調べてみるとダイオードがにツェナー電圧によりブレークダウンするため必要な最小電流として通常5mAから10mAの間の電流が必要のようだ。適当に抵抗を決めたのが良くない。そこで電源からツェナーダイオードに繋ぐ抵抗20KΩに1KΩをパラに接続(0.95KΩ)し、電流量を増やしてみた。6Vで約6mA流れる。
結果うまくいった。
ケースへの収納
ダイソーで買ってきた3個で100円のキッチンプラケースに基板を収納した。
この状態で、総抵抗5オームのセメント抵抗を取り付けて電流試験(約3A)を行った。セメント抵抗はかなり熱くなったけどMOSFETは特に発熱はしなかった。これはオン抵抗が小さいことが効いているんだと思う。
蓋をして定電圧電源に接続、この先はIC-705の外部電源端子に繋がる。
まぁ、良い感じで仕上がったと思う。
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