アマチュア無線ISSのパケット通信用(145.825MHz)にモクソン・ターンスタイル(Moxon Turnstile)アンテナを製作したのでその記録。
最終的に出来上がったモクソン・ターンスタイル アンテナ。かっこいいー。
今回製作したモクソン・ターンスタイル アンテナはTHE ARRL HANDBOOK 2017(21.65)に掲載されていたデータを元にしたものだ。以下の構成でアンテナペアを用意した。
HANDBOOKの記載の通りにMatching lineとPhasing lineも製作した。
まずこのMatching lineの意味だけれども、JI0VWLさんのブログを参照させていただいて以下の意味と理解した。
75Ωケーブルに50Ωアンテナを付けた場合、その正規Zは0.67になる。これに1/4λケーブルをつなぐとスミスチャート上で反時計方向に180度0.67は回転するので正規Zは1.5になる。これに特性インピーダンス75Ωを掛けると112.5Ωになる。これを並列につなぐと56.25Ωになる。50Ωぴったりとはいかないけれど、ほぼ50Ωとなり特性インピーダンス50Ωのケーブルで給電できるわけだ。
一般的にダイポールアンテナは75Ωと言われているけれど、このモクソンアンテナは50Ωになるらしい。したがってこの方法で良いらしい。
次にPhasing lineについてだけど、二つのモクソンアンテナの位相を90度ずらすことで指向性が円形になるらしい。言い換えるとアンテナ上で位相が回転するというこのようだ。
モクソンアンテナはリフレクターとペアになっているので上方に輻射され、さらに水平面は円形になる。つまりドーム型の指向性を持つということで衛星通信に向いているのだそうだ。
HANDBOOKではエレメント径を3/16inchで計算されていたので、約5mm径のエレメントを探した。結局加工性も考えて直径5mmのアルミパイプをビバホームで調達した。
問題はちゃんと曲げられるか。試してみたところ、曲げ方によってはクラックが入ってしまうことがわかった。
そこでアルミパイプにガムテープを巻いて、ゆっくりと曲げてみたところ、クラックが入らないで曲げられることがわかったのこの方法で曲げてみた。
アンテナエレメントの次はケーブル製作。50ΩケーブルとしてRG-58A/G、75Ωケーブルとして3C-2Vを調達した。のりしろを考慮して寸法に合わせてケーブルを用意し50Ωケーブルから2本の75Ωケーブルに分岐する部分を半田付け。熱収縮チューブを通したうえで芯線の半田付け。その後熱収縮チューブで被覆。その上にビニールテープを巻き、網線部分の半田付けを行った。
Phasing lineの接続も同様に行った。
給電部分のエレメントはダイソーのタッパー内に構成した。
アルミパイプに1.6mmの銅線(VVF1.6mmの銅線)を入れて圧着した。エレメントはケーブル固定用のプラスチック部品で固定した。Phasing lineはタッパー内でループさせた。これに蓋を被せて防水するので同軸ケーブル端は防水処理はしていない。
組み上げた様子はこんな感じ(それにしても騒々しい部屋だね)。
給電部分のタッパーとリフレクター部分のタッパーは塩ビのパーツを使って固定した。上下エレメント間の間隔保持はセブンイレブンの割りばしにて固定。固定は結束バンドで、後からビニールテープを巻いて補強した。
全体を組み立ててみた様子はこんな感じ。
Rig Expertで特性を計ってみた。とんでもない特性ではなく、とりあえず使えるレベルになっている。
屋根に上げてみた。とりあえずマストへは結束バンドでの仮固定で、大きな作業変更に対応できるようにしておいた。
実機でSWRを計ってみた。1.5ということで、使えるレベルにあると判断。
これで実際にISSからの電波を受信し、実際にパケットを送ってみた。今までの2段GPに比べるとずっといい感じだ。とにかくGPで感じていた輻射角を感じさせない。
そこで常時設置に耐えられるように保持機構を作り直した。
塩ビパイプ接続部分はM5ネジで固定した。
マスト固定用に金具を取り付けた。
全体はこんな感じになった。かなりしっかりした構造になった(と思う)。
もう一度構造のおさらい。
エレメントはホームセンターで売っている電線固定部品(5mmケーブル用)で固定。タッパーにT字塩ビをM5.5のネジで固定。ケーブルがタッパーから抜けないように結束バンドをケーブルに巻き付け。Phasing lineはタッパー内に収容。
リフレクター側のタッパーもT字塩ビにM5.5ネジで固定。
アンテナユニットに先ほど補強した保持機構を取り付けた様子。なかなかかっこいいー。
アンテナ取り付けが完了した様子。
これでISS通信が楽しめる。
めでたし、めでたし。