IC-705にHL-62Vを繋ぐ
144MHzリニアアンプHL-62Vを入手した。IC-705と一緒に使う。
HL-62VはFMモードではSEND信号配線をしなくても送信信号が入ってくれば送信モードになる。
回路図を見るとTX信号を検波してトランジスタQ4をONにしているようだ。これでリレーを動かすトランジスタを制御して送信ONになるわけだ。ただし、この検波が動作するのはFMの時でSSBではそうはならない。そもそもSSBは搬送波がないからPTTを押しても検波する信号が出ないからだ。
SSBで送信ONにするには外部から送信制御をしなければならない。で、HL-62Vには外部からリレーを動かす、つまり送信ONにする2つの方法を備えている。
① Q4をONにする。これには検波出力と同等の+DCを外から加える。
② Q4の代わりをさせる。これにはQ4とパラレルにスイッチ動作をさせてリレーを動かすスイッチを制御する。
この二つの動作をサポートするためにHL-62Vはリモートコネクタを供えている。
1ピンに+DCを加えてQ4をONにするか、4ピンをショートすることでQ4の動作を肩代わりするかだ。
さてさて、IC-705のSEND信号はどうなっているかというと、SEND入出力となっていて、仕様は以下だ。
- LOWレベルを検知すると送信状態になる(外部機器から制御される)
- PTTを押すとLOWレベルになる(外部機器を制御する)
おそらくオープンコレクタ出力がプルアップされていて、受信状態ではそのレベルをモニタしていて、PTTが押されるとオープンコレクタが閉じる(ONになる)んだと思う。だったら、このSEND信号を4ピンに繋げばIC-705でHL-62Vの送信を制御できると思う。
ここまでをまとめるとこんな等価回路になると思う。HL-62Vは通常はリレーに通電されているけれど、検波信号が入ってくるとQ4がONになってQ6がOFFになり、Q7がOFFになる。IC-705側にもオープンコレクタQがあって、このQ4とパラレルに動作するわけだ。
で、その通りに結線してみた。そうすると、SSBでは期待通りの動き(PTTを押せば送信ON、離せば送信OFF)をしたが、FMだとPTTを話しても送信ONのままで、受信状態に戻らない。これは困る。。。
で、なんでなんだろう?って考えてみた。恐らく考えられるのはIC-705がSEND入出力のLOWを検知すると送信することに原因があるんだと考えた。その仕組みは以下だ。
- PTTを押してIC-705がHL-62Vのリモートコネクタの4ピンをLOWにする(電流を吸い込む)。
- 同時にFM信号が入ってきてQ4もONになる。つまりQ4も上記4ピンをLOWにするわけだ。
- PTTを離すとIC-705は4ピンをLOWにするのをやめて、受信状態になる。
- が、電波が止まってからQ4がOFFになるまで若干のタイムラグが発生し、その瞬間は上記4ピンはQ4によってLOWになった(Q4が電流を吸い込んだ)まま。
- 受信状態になったIC-705がそのレベルをSEND入出力でLOWと検知してしまうので、自動的に送信状態にもどってしまう。
つまり、PTTが離されても検波信号がなくなってQ4がOFFになるまでの遅れ時間のお陰で送信が止まらなくなるというわけだ。ループしちゃてるわけだね。
じゃあどうするか。。。。ちょっと考えた。
IC-705がリモートコネクタの4ピンをLOWにするときは電流はIC-705側に向かって流れる(吸い込む)。一方、IC-705が受信状態の時にHL-62VのQ4がONになった場合は電流はHL-62V側に向かって流れる(Q4が吸い込む)。だったら、HL-62V側に流れる電流を遮断してやればIC-705はSEND入出力をHIGHのままに保てるんだろう。これをまとめると以下の等価回路になって、IC-705のSEND入出力にIC-705に順方向にダイオードを入れている。
で、IC-705のSEND入出力と上記4ピンとの間に、IC-705に向かて順方向にスイッチングダイオード(手持ちであった1N4148)を入れてみた。かっこよく仕上げたかったのでコネクタ内に入れてみた。
ダイオード部分を熱収縮チューブで覆う。
コネクタカバーをかぶせて完成。
結果は期待通り。Q4がONになって電流を吸い込もうとしてもIC-705からは電流が流れない(ダイオードがそれを許さない)ので、IC-705はHIGHレベルを維持することができて、ループしなくなった。
あとはJARDへの認定申請をして総務省申請LITEで変更申請をすることになる。でも認定料が5,500円。ちょっと高いんじゃない???
でもまぁ、めでたし、めでたし。