無線と実験

2022年5月 6日 (金)

144MHz 2台のトランシーバーの干渉現象

2台のトランシーバー FTM-100DとFTM-7250Dで144MHzで運用すると、FTM-100Dの送信がFTM-7250Dが受信できなくなる現象についての記録。

構成は下図のとおり。FTM-100Dが144.540で送信すると、隣に置いてあるFTM-7250Dが144.600の信号を受信できなくなる。それぞれのアンテナは5メートル位離れている。

Photo_20220506202801

具体的にはFTM-7250DではいままでRS=59オーバーで入っていた信号がFTM-100Dが送信するとノーシグナルになる。あたかも144.600の信号がストップ(送信停止)したように見える。
ちなみにFTM-7250DでFTM-100Dが送信する144.50を受信するとフルスケールで受信される場合とRS=51で受信される場合がある。この事から、FTM-7250Dでは受信周波数またはその近傍で強力な信号を受信するとアッテネーターが自動的に働くような感じに思える。つまり、受信回路を守るため(勝手な想像)に強制的に受信アンプゲインを落とすわけだ。

でも、そんな機能が入っているとの情報はGoogle先生に聞いても出てこない。実際、そんなことちょっと考えずらい。モービル運用で隣の車が同じバンドで電波を出すと、こっちのトランシーバーが受信不能になるなってあり得ないと思う。おまけに、この現象はFTM-7250D以外でも発生するようだ(OMも別モデルのトランシーバーで同じ経験を持っている)。

この現象を回避する方法はこの記録を書いている時点では分かっていない、

2022年4月17日 (日)

EchoLinkでのHAMSTIRの動き

EchoLinkでHAMSTIR STとHAMSTIR Xを使っている。HAMSTIR XはWIRES-Xとの相互接続のために使用。今回の構成でEchoLink側のみ、おかしな動作をするので、まずは現状の記録から。

システムの全体構成図は以下のとおり。
Photo_20220417080401

ここでの「おかしな動き」とは以下の通り。

  1. EchoLinkのUserノードからSysOpノードであるJA0WBT-Lに接続し、Transmitする。SysOpノードはRXモードになり、Userノードからの音声はHAMSTIR ST→HAMSTIR X→FTM-100Dと送られ、FTM-100Dより送信される。またHAMSTIR X→HRI-200を経由してWIRES-Xノードが接続しているWIRES-X Roomにも転送される。ここまでは想定通り。
  2. EchoLinkのUserノードがTransmitを終了すると、EchoLink SysOpノードはアイドル状態になり、FTM-100DおよびHRI-200を通した送信は停止する。ここまでも想定通り。
  3. この後(SysOpノードがアイドル状態になって1秒未満)、SysOpノードはTXモードになりUserノードに信号を(勝手に)送る。UserノードはRXモードになり、Transmitができなくなる。ここがおかしな動き。この状態では、SysOpノードはTXモードになるがWIRES-X側は送信状態にはならない。つまりEchoLink側だけが勝手にTX状態になる。なお、この現象はFTM-100Dの電源がONになっている場合にのみ発生する。

上記動作をイラストで表すと以下のとおり。

1. 
Echolinktransmit

2. 
Echolinkidle

3.
Echolinktx

この現象をEchoLink SysOp画面で見ると以下となる。
Echolinkgui

この現象の観察を通して、現時点で以下の結論に到達している。

  • 本現象(勝手にTXがONになる)はFTM-100Dの電源が入っている場合にのみ起きる。仮にFTM-100Dが変な動きをしている(電波を受信していないのに受信データをHAMSTIR Xに送っている)とすると、EchoLinkとWIRES-Xの両方が送信するはずだ。よってFTM-100Dの動作が異常だとは言えない(FTM-100DはEchoLinkだけにおかしな信号を送ることはできない)。
  • FTM-100Dの電源が入っていない状態では、EchoLinkとWIRES-X間の相互通信は問題なく実行され、本現象も発生しない。よって、HAMSTIR STに問題があるとは思えない。
  • 以上より、FTM-100Dの電源状態(信号状態)を認識することができ、EchoLink側だけにおかしな信号を送ることが出来る(EchoLinkとWIRES-Xに対して別々のインターフェースを持っている)HAMSTIR Xの動作があやしい。

要追加調査。。。。。

解決!!

HAMSTIRの開発元であるOneChipDesignより大変貴重な情報を頂く事ができ、無事問題が解消したので以下にその情報を転記(一部編集)。

問題のポイントは、送信時スケルチ出力の設定です。
[TX]: ON(初期値)にすると、送信時 Hレベルの信号が出力するようで、
受信に戻った時の Lレベルに戻るタイミングのバラツキで、
EchoLinkの方が受信信号有りと判断してしまい誤動作になるようです。

・FTM-100の設定例 (WIRES-Xノード局モードにはしない)
 設定画面に入るには、[DISP SETUP]ボタンを長押しします。
 [DATA] =>[1.COM PORT SETTING] =>[COM OUTPUT] : PACKET
 [DATA] =>[2.DATA SPEED] : DATA 1200 bps
 [DATA] =>[3.DATA SQUELCH] : 2 TX OFF

・FTM-400の設定例
 設定画面に入るには、[DISP]ボタンを長押しします。(HRI-200制御モードにはしない)
 [TX/RX] =>[AUDIO] =>[MIC GAIN] : NORMAL
 [DATA] =>[COM PORT SETTING] =>[OUTPUT] : OFF(camera)
 [DATA] =>[DATA BAND SELECT] =>[DATA] : MAIN BAND
 [DATA] =>[DATA] : 1200bps
 [DATA] =>[DATA SQUELCH] =>[DATA] : TX/RX BAND
 [DATA] =>[DATA SQUELCH] =>[TX] : OFF

 

いやぁ、FTM-100Dのマニュアルは見たつもりが、DATA SQUELCHなる設定がある事には気が付かなった。スケルチ設定のところはいろいろと設定してみたものの、それは実際の電波受信時のスケルチ設定のところどまりだった。

やはり技術力のある会社さんの製品はこういったテクニカルサポートもすごく魅力的なところだ。深々と感謝!!!

2022年4月 3日 (日)

EchoLinkに異なるスマホから同じコールサインで接続する

備忘録

自分のリンクノードには自分のスマホ(古いスマホ)から常時接続している。なのでリンクノードには古いスマホが接続中と表示されている。

出先から上記自分のリンクノードに他のスマホ(新しいスマホ)から接続すると、リンクノードの接続が古いスマホから新しいスマホに置き換わる。二重接続はしない。

新しいスマホの接続を着ると再び古いスマホに接続が戻る。

注意:同じWiFi上で上記を行うと新しいスマホはリンクノードに接続できない。上記が可能となるのはそれぞれのスマホが異なるネットワークを介してリンクノードに接続する場合のみ。

2022年3月22日 (火)

EchoLinkとWIRES-Xの相互接続(中継)の構成について

EchoLinkとWIRES-Xの中継装置を立ち上げたので備忘録。

今回構築した中継装置の概要はOneChipDesign社のHAMSTIRを使って構築した。

Img06676_small

HAMSTIR ST:EchoLinkのPCからアナログトランシーバーへのインターフェースボックス
HAMSTIR X:インターフェース分配器。2つのインターフェースボックスからのアナログトランシーバーへのインターフェースを一つにまとめて一台のアナログトランシーバーに接続するとともに、2つのインターフェースボックス間の信号中継を行うインターフェースボックス。例えば、HAMSTIR STからのインターフェース信号はトランシーバーインターフェース(Mini DIN 10p)とHRI-200に送られる。

HRI-200はWIRES-Xのインターフェースボックスなので、HAMSTIR Xを使う事で、EchoLinkとWIRES-Xとの間の中継を行うことができる。今回の中継装置ではHAMSTIR Xの先にアナログトランシーバーを接続していないで、EchoLinkとWIRES-X間の中継のみをおこなう。

Photo_20220323094101

この構成ではWindows上でオーディオ入出力レベルのチューニングが必要となる。

HRI-200ではEchoLinkからの受信音声はUSBオーディオ入力で、EchoLinkへの送信音声はUSBオーディオ出力で設定される。

HAMSTIR STではWIRES-Xからの受信音声はPCのMic入力で、WIRES-Xへの送信音声はLINE OUTオーディオ出力で設定される。

それぞれのレベルを調整することで、EchoLink上のオーディオレベルとWIRES-X上のオーディオレベルを調整することになる。

HRI-200でのオーディオレベル調整

送信音は100、受信音は71に設定した。この設定はPC上ではUSBオーディオのスピーカーとマイクのレベル設定にコピーされる。
Wires

EchoLinkからの送信はPCのLINE OUTのスピーカーレベルで設定し、100と設定した。
El_20220322193401

EchoLinkへの受診信号はMic入力としてインターフェースボックスから取り込まれる。ここではレベル100でマイクブースト20dBとした。10dBではレベル不足(EchoLink端末としてのスマホで聞くと音が小さい)で、30dBにすると音が割れてしまう。
El

 

EchoLinkアプリ上での設定

System Setup

HAMSTIR STのLINE OUTケーブルとMICケーブルを接続した端子(Audio Device)をInput DeviceとOutput Deviceに設定する。
Elaudio

Preferences

Allow conferenceにチェックをいれて複数のUserがこのLink Stationに同時接続可能とする。接続可能Station数の上限はとりあえず10とした。
Elconnections

Sysop Setup

RX CtrlはSerial CTSとする。Serial PortはHAMSTIR STをPCにUSB接続した際にデバイスマネージャに現れる2つのCOMポートの内の小さいCOM番号のCOMポートを設定する。今回の構成ではCOM5とCOM6となった。
Elrxctrl

TX CtrlはRTSとする。Serial PortはRX Ctrlと同じにする。
Eltxctrl

IdentificationではDefaultでWhile not activeにチェックが入っているのでこれを外す。そうしないと10分おき(設定値による)にEchoLink上のJA0WBTのモールス信号がWIRES-Xに中継されてしまう。
Elidentity

OptionではAnnounce connectsとAnnounce disconnectsをNoneにする。Noneにしていないと、接続・切断した際にEchoLinkから送信されるメッセージ(例:JA0WBT disconnected)がWIRES-Xに中継されてしまう。
Eloptions

 

WIRES-Xの設定

アナログSQLをNoToneにする。ToneSQLが設定されていると、EchoLinkからの信号が入ってきてもToneが付いていないので送信できない。この場合、WIRES-X上では中継局ノードが緑色のボックスで表示されるが相手に送信信号が飛ばない(トランシーバーが繋がっているノードのトランシーバーは電波を出さない)。
Wires_20220322194701

切断タイマー無効設定とする。
Wires_20220322194702

以上でEchoLinkとWIRES-Xの中継が可能となった。

 

2022年3月 7日 (月)

屋根裏ダイポールの外出し

屋根裏に張っていた14/28MHzと24MHzのダイポールを(ようやく)外出しした。

基本的に今ある所にダイポール端点を取り付ける事にすることを考えているけれども、一つ足りなくて新たに単管マストを立てることにした。前回畑の隅に立てた4メートル単管に2メートル単管を繋いだけれど、4メートル単管の先端に2メートル単管を差し込むのはちょっと大変だったので、今回は3メートルを2本にした。

まずは前回同様にコメリのフェンス基礎石を埋める。
Img06511_small

3メートル単管を立てる。
Img06512_hdr_small

埋めた単管の先に3メートル単管を繋ぐ。先端には垂木クランプを取り付け、そこに滑車を固定した。ロープは3mmのポリエステルロープを使用。
Img06523_hdr_small

この単管に14/28MHzダイポールの一端を取り付ける。もう一端は144/430 GPの屋根馬に取り付ける。
Img06525_hdr_small

24MHzダイポールの一端は畑隅の単管マスト(写真上のライン)に、もう一端は屋根の垂木に固定した。14/28MHzダイポール(写真の左右ライン)は若干東寄りで東西に張っている(指向性は南北を目指す)。24MHzは西寄りの東西に張って指向性は同様に南北を目指した。
Img06529_small

アンテナアナライザ(AA-1500 ZOOM)の結果は24MHzと28MHzが変。でも、24.915MHzと28.074MHzでFT-450のアンテナチューナーが動作してチューニング成功。つまり、いずれもSWR<3ということなので、共振はしているのだと思う。周波数が接近している複数のアンテナが接続されている状態ではアンテナアナライザがちゃんと動作しないということだろうか???
03072

うれしいことにヨーロッパにしっかりと飛んでいる。
202203071500to16002

拡大するとこんな感じ。実際、オーストリア、フランス、スロベニア、クロアチアの4局とQSO成功。
202203071500to1600

これでこれからのハイシーズンに備えることができる。

2022年2月 9日 (水)

AA-1500 ZOOMでキャパシタ測定

RigExpertのアンテナ・ケーブル アナライザー AA-1500 ZOOMを使ってキャパシタを測定してみたのでその記録。

AA-1500はR・XチャートにてLC素子の測定が出来るとある。で、実際に行ってみた。測定に先立って測定クリップを作成した。Mコネクターのメスにクリップを半田付けした。
Img06322_small

このMコネクターをAA-1500に接続した。コネクター変換アダプターがちょっとコテコテになっているがしょうがない。
Img06321_small

測定に使ったキャパシタは以下のキットを使った。精度がどの程度のものか分からないけれど、大体の目安にはなると思う。
Img06323_small

AA-1500のマニュアルによるとキャパシタの値をQ=-25からQ=-100の間で読むように(そう解釈したけれど)と書かれている。そこでQ=-25とQ=-100で測定値を取得した。キャパシタはそれぞれの容量で1個だけを測定した。

  Q=-25 Q=-100
100pF 191.5 99.1
330pF 374.6 230.5
680pF 650.7 465
1000pF 873.7 674.4
2200pF 2200 1900
4700pF 4700 4400
10000pF 9000 8900

結果を見ると330pF以上ではQ=-100にてキャパシタの表示容量の10%以内の誤差で値が得られている。100pFはQ=-25で191pFとちょっと様子が違うので別のキャパシタで測ってみた。
Img06324_small
このキャパシタでも様子は一緒だったので、キャパシタンスが小さくなるとこういった傾向になるのかもしれない。

  Q=-25 Q=-100
100pF 189.1 97.2

とりあえずCメーターとして使えそうな気がする。

2022年2月 8日 (火)

進行波と反射波の関係 - 備忘録

SWRの送信電力の視点から考察する、というかOMの知恵をまとめた備忘録。

OMの知恵をエクセルに落としてみた。進行波と反射波が見かけ上の波ということで、計算することでその波の大きさが分かるとのこと。やはり送信機出力がアンテナ給電点でどうなるかを知りたいので送信機出力からアンテナ電力を逆算をしてみた。

SWR 3.000  
線路損失 0.794  
     
ANT電力から送信機出力を求める  
ANT電力 7.100  
ANT給電点の進行波電力 9.467 ((SWR+1)^2)/(4*SWR)
ANT給電点の反射波電力 2.367 ((SWR-1)^2)/(4*SWR)
送信機端の進行波電力 11.923 ANT給電点の進行波電力/線路損失
送信機端の反射波電力 1.879 ANT給電点の反射波電力*線路損失
送信機出力 10.044 進行波電力-反射波電力
     
送信機出力からANT電力を求める  
送信機出力 10.000  
A 1.679  A=(((SWR+1)^2)/(4*SWR))/損失
B 0.265  B=(((SWR-1)^2)/(4*SWR))*損失
ANT電力 7.069 送信機電力/(A-B)

ダウンロード - txantpower.xlsx

線路損失は10メートルの5D-2Vを145MHzで使用した場合の損失として0.794を入れている。この値はJARLのライブラリーを参照(損失とdB→%換算)した。

SWR=3でも10Wの送信機出力に対して約7Wがアンテナに送り込まれるとわかる。SWR=3というと可也悪い値に思えるがおよそ70%がアンテナに送り込まれるわけだ。

OMの知恵ではアンテナ給電点での電力(ANT電力)からストーリーが始まっている。特定のSWR値の下で、所望のANT電力を得るためには進行波電力がこの値である(反射波電力がこの値になるから)必要があると読める。そして、それらの値から線路損失を考慮して送端での進行波と反射波の電力はこうなり、進行と反射の収支をあわせることで送信機出力が決まるわけだ。でも、送信機側からこのストーリーを見るとなんとも腑に落ちない。というのも送信機出力とはかけ離れた電力がいきなり送端に入力されることになるからだ。つまり、送信機側からすると何とも変に思える。そこで、今一度送信機出力端に注目してみる。下図では送信機出力が10.044Wだ。これに反射で帰ってきた電力を加算すると進行波電力になる。つまり、進行波電力は送信機出力に反射波電力を加算したものなのだな。

Photo_20220208132901

しかし未だにピンとこないのが線路損失が1(つまり損失無し)の場合の計算値だ。この場合、SWR=3でも送信機出力の100%がアンテナに送り込まれる。アンテナ給電点での進行はは13.333W、反射波は3.333Wで差し引きで10Wがアンテナに送り込まれるという計算になっている。

SWR 3.000  
線路損失 1.000  
     
ANT電力から送信機出力を求める  
ANT電力 7.100  
ANT給電点の進行波電力 9.467 ((SWR+1)^2)/(4*SWR)
ANT給電点の反射波電力 2.367 ((SWR-1)^2)/(4*SWR)
送信機端の進行波電力 9.467 ANT給電点の進行波電力/線路損失
送信機端の反射波電力 2.367 ANT給電点の反射波電力*線路損失
送信機出力 7.100 進行波電力-反射波電力
     
送信機出力からANT電力を求める  
送信機出力 10.000  
A 1.333  A=(((SWR+1)^2)/(4*SWR))/損失
B 0.333  B=(((SWR-1)^2)/(4*SWR))*損失
ANT電力 10.000 送信機出力/(A-B)

この関係を図にすると以下となる。

Photo_20220208192601

アンテナ給電点から進行波電力の25%にあたる3.333Wが送信端に返ってきて、これに送信出力10Wが加わって13.333Wとなり、その25%の3.333Wが送信端に返ってくるという仕組みだ。なんともすっきりしない。10Wが入ってきて、25%が戻ってきて、それに入ってきた10Wが加わって、その25%が戻ってきて、、、ということを繰り返して安定するとこうなるんだろうか。系のなかでの損失が無いわけだからこうなるんだろうなぁとは思うが。

2022年2月 6日 (日)

フロートバランの製作 その4

これで4つ目、同軸ケーブルを使ったソーターバランを作った。ここでは月刊FBの記事を参照した。

ここまでで得られた結論から先に書くと、50MHzのバランは単にコイルや同軸ケーブルをトロイダルコアに巻いただけでは損失が大きく、実用に耐えるにはインピーダンスマッチングが必要ということ。なので、4つ目ではインピーダンスマッチングを行うことで完成となった。

トロイダルコアと同軸ケーブルは千石電商からネット調達した。千石電商は秋葉原系の他のネット通販とは一味違ってマニアックな品揃えになっているようだ。
Partslist

Img06269_small

トロイダルコアに同軸ケーブル固定用の結束バンドを取り付ける。
Img06273_small

同軸ケーブルは6回巻いてからコアの真ん中を通して向かい側に回して更に6回巻く。合計12回巻き。
Img06274_small

両端の被覆をカット。
Img06276_small

コアをボックス内にセットする。
Img06277_small

アンテナアナライザーAA-1500に直接接続をしてSWRを測定する。変換コネクターを幾つか使ってこんな感じで測定した。
Img06280_small

赤線が今回製作したバラン。紫線がBL-5、緑線がFT-50-43でのコイル5回巻き。50MHz付近ではSWRが上昇している。 Swrbl5ft5043
グラフ1

ここで、なんでこうなっているのか考える。

そもそもSWRは反射係数 Γ = |(ZL-ZO)/(ZL+ZO)| で得られ、SWR = (1+Γ)/(1-Γ) で得られる。 
ZL:負荷インピーダンス、ZO:線路の特性インピーダンス

つまり、周波数の上昇にともなってSWRが上昇するということは負荷インピーダンスつまりバランの入力インピーダンスが変化する(線路の特性インピーダンスとバランの入力インピーダンスとの差分が大きくなる)ということと解釈できる。

そこで50MHzワイヤーダイポールにバランを接続してSWR値を比較してみた。BL-5ではSWR=1.01(赤線)、同軸バランではSWR=1.50(紫線)となった。上記の50MHzでの同軸バランの入力インピーダンス変化がこの差になって表れているんだろうと思う。
Bl5swr
グラフ2

実際AA-1500のスミスチャートで比較をしてみると一目瞭然となっている。BL-5はワイヤーダイポールの共振周波数である48.8MHzあたりでR=1.0中心点(リアクタンス=0のライン)にプロットされる(赤線)。
Bl5smith
グラフ3

一方同軸バランは48.6MHzにてSWR=1.51となり(紫線)、その際Z=64.89-j18.38となっていて、|Z|=67.44となっている。つまり、入力抵抗値も大きくなるとともに、容量成分のリアクタンスが発生していて、R=1.0の中心点から外れている。
Bl5smith2
グラフ4

改めてグラフ1を見ると14MHzあたりからBL-5とのSWR差が生じている。つまり、14MHz以下であればダイポールアンテナ接続時にBL-5と同等の性能を出すことができるだろうが、周波数がその辺りを超えるとインピーダンスマッチングが必要になるということを示唆しているのだろう。インピーダンスマッチング回路はどうなるのか、このあたりの計算をMr.Smithで行ってみた。このアプリは超スグレモノで、スミスチャートど素人の私でもインピーダンスマッチング回路設計ができてしまうのだ。スタートポイント(Marker 0)はアンテナアナライザーが示したZ=64.89-j18.38。そこからキャパシタをパラレル接続してR=1の等レジスタンス線のMarker 1に移動する。その後インダクターをシリアル接続してR=1の中心点、Marker 2に移動する。
Photo_20220206103201

上記2ステップの移動をまとめると、50MHzでインピーダンスを50Ω(R=1.0)にマッチングするには以下の回路が必要との結果になった。

Photo_20220206105101

キャパシタは手持ちの22pFセラミックコンデンサーを使った。コイルは計算の結果、5mm径で4ターンのコイルで108nHとなることが分かったので自作した。3D-2Vのケーブル被覆が丁度良い寸法だったので、そこに0.35mmのUEW線を4回巻いた。
Img06285_small

このコンデンサーとコイルをバランの箱内に実装した。
Img06288_hdr_small

アンテナアナライザーに直結した状態でのSWR変化は以下の通り。赤線がインピーダンスマッチング回路付きで、紫線が同回路なし。50MHz付近ではSWRが下がっている。つまり線路の特性インピーダンスとバランの入力インピーダンスの差分が小さくなったというわけだ。
Imp
グラフ5

インピーダンス変換回路付きでダイポールアンテナに接続してみた。SWR=1.16まで下がった(赤線)。緑線は同回路なしのSWR。結構改善がみられる。
Imp_20220206141601

改善の様子をSmithチャートで見てみると、ほぼ狙い通りになっていることがわかる。48.5MHzではチャートの中心の一歩手前まで移動している。
Smith
グラフ7

少なくともR=1.0の等レジスタンス線上に軌跡が来ているので、キャパシタは22pFで正解だったことになる。インダクタをもうちょっと増やすと容量性リアクタンスをゼロにもっていけそうだ。そこでコイルを4回巻きから5回巻きに1ターン増やしてみた。

結果は大正解で、Z = 49.99 + J0.63 まで追い込むことができた。
5smith
グラフ8

結果としてSWR=1.01、RL=44.01と理想的なところになった。
5swr
グラフ9

このバランに25Ω抵抗をシリアルに接続し50Ωとし、中間点をGNDにして両端の電圧をオシロスコープで測定することでバランス度合を確認する。アンテナアナライザをSWRメータモードにして48.6MHzのSWRを測定した。こうすることでバランに48.6MHzの信号が送り込まれる。
Img06289_small

真ん中の紫色の線がA+B。ほぼ平坦で平衡度が得られていることが確認できた。
Imp486mhz

結果:
以下のCLにてインピーダンスマッチング回路をバラン入力点に構成し50MHzでのバラン入力インピーダンスを50Ωすることで低損失のソーターバランとして機能する。
C=22pF
L=5mm径で5ターンのコイル。多分108nHあたり。

少なくとも50MHz辺りではバランの入力インピーダンスが同軸ケーブルの特性インピーダンスである50Ωから外れて、それにより反射係数が上昇しSWRが劣化していると判断できた。50MHz辺りでのバランの入力インピーダンスが50Ωになるようにインピーダンスマッチング回路を挿入すると、50MHzでのSWRは劇的に改善する。つまり反射係数が小さくなる。

今回追加実装したインピーダンス変換回路をそれなりの出力に耐えられるように実装すれば、この同軸ケーブルを使ったソーターバランは50MHzでも使えそうだ。とにかく勉強になった。

2022年2月 2日 (水)

フロートバランの製作 その3

FT-50-43を使ってみた。

0.5mmのUEW線を使う。
Img06249_small

UEW線を撚ってトロイダルコアに5回巻く。
Img06250_small

特性はFT-114-43とほとんど同じ。
Img06252_small

屋根裏の50MHzダイポールに接続してみたがSWR=1.78と思わしくない。BL-5はSWR=1.01になっている。
Ft50435

そこでこの自作バランとBL-5のインピーダンスグラフを比較してみた。BL-5は共振周波数である48MHzでR=49Ω、一方自作バランはR=88Ωとなっている。この入力抵抗値の差がSWRの差になっていると思われる。
50mbl5

しかし、入力抵抗値を変えるにどうしたらいいのだろう???同じワイヤーダイポールを接続しているBL-5とは差があるのでアンテナワイヤーを調整してどうのこうのという話ではないのではないだろうか。

そこでトロイダルコアに巻いているUEW線の巻き数を3回に変えて特性が変化するか調べてみた。

結果は5回巻きも3回巻きもほぼ同じで変化は見られなかった。以下のグラフは両方のケースの特性を重ねているけれどほぼぴったり。
Ft504353

どうしたらいいのだろう???

トロイダルコアを変えても、巻き数を変えても同じ(いまのところ)となると自作バランをBL-5と同じ特性にするには次に何をすればいいのだろう。BL-5は強制バランだろうから、もともと違うモノと言えばそうなんだけれども、、、、

追加

トロイダルコアへの巻き数を3に減らしても状況は変わらなかった。Img06262_small_20220206085401

何をどうしたら良いのかわからない。。。。

 

2022年1月31日 (月)

フロートバランの製作 その2

バランの性能が思わしくないので、バイファイラ巻きから撚線巻きに替えてみる。

まずは寄り線の製作。0.8mmのUEW線を撚る。UEW線は30cmでカットしてある。
Img062431_small

巻きあがったUEW線。使うトロイダルコアはFT-114-43と同じもの。
Img06245_small

5回巻きにしてある。撚り部の長さがちょっと余ったので少しほどいてこの形にした。UEW線の端はヤスリで被覆を剥がしてある。
Img06246_small_20220131104201

バイファイラ巻きのフェライトコアから交換した後。
Img06247_hdr_small

50Ωのだミロードを付けてSWRを測定した。赤太線がバイファイラ巻きでピンク細線が撚り線巻き。明らかに違う。
Photo_20220131104001

24MHzでのSWRは1.03dB、リターンロス36.13dBとなかなかの特性をだしてくれた。
Photo_20220131104301

やはりトロイダルコア巻き付け部分がバイファイラ巻きでは線間の結合が甘くてインピーダンスが合わなかったということなんだと思う。撚り線巻きで線間の結合がより高くなってインピーダンスが合ったのだろう。

実際インピーダンスをグラフで見ると、共振周波数の24MHzでのインピーダンスはバイファイラ巻き(細線)が43.58Ω、撚り線巻き(太線)が51.43Ωと、撚り線巻きがケーブルの特性インピーダンスの50Ωにより近くなっている。周波数が高くなるとインピーダンス差はもっと大きくなる。
Photo_20220131110501

インピーダンスのピーク周期がバイファイラ巻きが34MHzであるのに対して、撚り線巻きは33MHzと若干低くなっている。

より以前の記事一覧