今日は近所七軒の共同水道の年に一度の掃除の日です。この掃除のことをここでは「いさらい」とよびます。
この水道の水源は近くを流れる長通川の川岸の岩の間から流れ出す伏流水が水源となっています。
この水道は三つの水槽で構成されています。
第一水槽と第二水槽は隣接して設置されていますが、第三水槽は遠くに設置されています(理由は後ほど)。第二水槽と第三水槽の間は谷沿いに設置されたパイプで接続されます。
第一水槽は岩の間から流れ出る湧水を受け止める水槽です。岩の間から流れ出る水に含まれる砂を受け止める役割を担います。
第二水槽はそのすぐ下に設置されており、第三水槽への水搬送の為の中間水槽になります。第一水槽へに水の流れ込み流量が減った場合(水枯れ)、長通川の水を上流で受け止めてパイプを使って直接第二水槽へ水を引き込むことでバックアップする仕組みになっています。
長通川からの取水パイプ。
第三水槽は第二水槽の下流の配水を受ける家々の近くに設置されています。家々に送られる水道の水圧は、この第三水槽と家々の高低差で決まります。第三水槽は水の消費量変動に対応できるように底面およそ2メートル四方、高さ3メートル程の容量があります。
ここまでが水道設備の概要説明です。
ここからが「いさらい」の説明になります。
掃除に先立って、第一水槽から第二水槽への送水バルブを閉めます。
次に第二水槽の排水バルブを開けて水を排水することで第二水槽から第三水槽への送水を止めます。写真の右側パイプの付け根にあるのが排水バルブです。左側の青いパイプが第三水槽への送水パイプです。
その上で第三水槽から家々への送水バルブを閉めてから第三水槽の排水バルブを開けて排水します。第三水槽の容量が大きので排水には時間がかかります。右が送水バルブで、左が排水バルブです。
これらの準備が整ってから掃除を開始します。
第一水槽の掃除では、排水バルブを開けて、底に溜まった砂を取り除きます。作業は竹ほうきで底をかき回して砂を排出します。
第二水槽の掃除では、第一水槽からの送水バルブを閉じてから、第二水槽の排水バルブを開けて水槽の水を抜きます。第三水槽への送水管の入り口にかぶせてあるフィルター金網を外して洗った上で再度セットします。
これらが終わってから、第一水槽の排水バルブを閉めて第二水槽への送水を再開します。送水開始直後の砂を含んだ水の流入が終わった時点で第二水槽の排水バルブを閉めます。水が貯まり、第三水槽への送水が再開します。
第三水槽では、水の流入量よりも排水能力の方が大きい設計になっているため、排水バルブが開いている限り、水が流れ込んできても貯まりません。この状態で水槽の中に入り、竹ほうきとデッキブラシで、壁の掃除と底の砂を排出をします。家々に水を送る送水管にかぶせてある金網フィルターをは外して、流入してくる水で掃除し、再度セットします。これらが終わった後、排出バルブを閉めます。貯水が始まります。金網フィルターの上まで水が貯まったら、送水バルブを開けます。
以上でいさらいは終わりです。準備に1時間、掃除に45分位の作業です。掃除は水槽に貯まった砂の量によって変わります。